負け組進化論

アニマンダラの構成とキーワード

●2つの基礎概念とキーワード

▶2つの基礎概念

種我同型論
アニマンダラの最も基本となる概念です。生物の”種”と”自我”が同一の機能として対応性をもっているということを、様々な視点から探求したものです。『種の多様性』=『自我の多様性(個性)』。種と自我に同じ機能を持った同型の構造を見いだすことで、様々な動物種の性質や行動原理、生存戦略が、私達人間の個性や行動原理を直接反映した鏡として見えてきます。そしてそこを基点として、生態系全体や進化のプロセスを、私達の社会や歴史の鏡として、あるいは個人の人生や生き方の鏡として見ていき、自我の本質を洞察していくための理論です。

負け組進化論
アニマンダラの視点で生命進化を再解釈した時に浮かび上がる、人間を生み出す内骨格動物(脊椎動物)の進化の道筋。『適者生存』を唱えたハーバート・スペンサーなど、昔の科学者や社会学者は、人間は強者として環境に適応し続けてきた生物の系統だと信じていました。ところがその後の研究によって、人間の祖先に当たる動物の系統は、むしろ多くの場合生態的弱者であったことが明らかになりました。現在科学者たちの間では、適応とは強者であるかどうかではなく、結果として生き残れたかどうか。たんに進化とは変化を意味し、人間は特別優れていたわけでなく、たまたま運良く条件が揃っただけ。という方向性を見失った極端な解釈が主流となりつつあるようです。つまり人が誕生したのは偶然であるというのです。現在、リン・マーギュリスの共生進化論など、異なった説もあるものの、それらは主流とは言えません。ところが、です。科学者が偶然と説明する、人への進化の道筋に、動物個体の”認識”に焦点を当てた視点を持つと、偶然ではない必然が見えてきました。それが、『負け組進化論』です。人への進化の道筋をたどった時、一般の進化に対するイメージと異る風景がそこにはありました。

▶2つのツール

アニマンダラ式生命系統樹『AnimandalaExplore』

Exp

『AnimandalaExplore』は、生物学的な系統樹をベースに、『種我同型論』や『負け組進化論』など、Animandalaの視点で抽象化した、精神構造を探索するための地図であり、曼荼羅。特徴としては、人間の横に六角形の点線があり、その中にフラクタルに小さな系統樹が描かれます。これは生態系の進化が、人間の意識、もしくは意識が展開する情報空間の中に反復していることを示しています。
なお、これは最も基礎的な構造を抜き出してシンボル化したバージョンのため、生物学的系統樹としては表現上厳密なものではありません。今後より詳細なバージョンも作成予定です。

生命系統樹
ツインウロボロス・サーキット
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生物の”知覚”が引き起こす、『垂直進化』と『水平進化』の分岐を生み出す回転力のこと。複雑に多様化する生物進化に、シンプルな道筋を与える視点。二匹のウロボロスが互いの尻尾を噛みあうように、『見る意識』と『見られる意識』が循環することで展開します。生命進化全体で暗躍していると考えらますが、カンブリア爆発から始まる動物の進化において、特にハッキリ見出せます。

▶キーワード

生命の失楽園・カンブリア

hist_img_camb約5億4千年前、その幕開けとともに動物の爆発的な進化が起きたとされる先史時代を、カンブリア紀と言います。それ以前はクラゲなど比較的単純な生物しかいませんでしたが、この時代の幕開けとともに、現在に通じる複雑な動物種の基礎が出揃いました。進化における重要な特異点の一つで、『負け組進化論』や『ウロボロスサーキット』の起点となる時代です。アニマンダラはこの時代の出来事を動物の”認識”の視点で捉え直します。すると、面白いことに、シンボルや展開していく文脈が、聖書や古事記などの創世神話と不思議とよく重なります。それは全く異る文脈でありながら、人間の無意識領域の認知においては同一性を暗示しているのです。生物進化的な”出来事”であるカンブリア爆発が、神話的物語へと変換されたとき、主観的認識において、広大な進化の時間が人間的時間へと畳み込まれることを体験します。

外骨格と内骨格

骨格を基準とした動物の分類群です。意識構造の地図でもある、アニマンダラ式生命系統樹『AnimandalaExplore』は、この分類を基準に作成されています。外骨格は、表皮に骨格を持つ動物で、昆虫やエビ・カニなどの甲殻類を含む節足動物のグループのことです。一方、内骨格は、体内に骨格を持つ動物のグループで、主に私達人間を含む背骨を持つ動物達のことです。現在記載されている(名前が付けられている)動物種の90%がこの二つの動物群どちらかに含まれます。アニマンダラでは、このグループ以外を、骨を持たない、無骨格動物というカテゴリーにしています。クラゲなどの刺胞動物や、貝、タコ・イカが属する軟体動物がここに属します。外骨格、内骨格は、骨が内と外にあるという表面的な対称性ではなく、体の外部形態を決定するHox遺伝子の一部が変化したことで、体軸の前後が逆になり、身体の内と外が実際に反転した関係となっているのです。種我同一論の視点から、両者は動物種のカテゴリーであると同時に、人の自我意識の二つの方向性が身体化したものでもあります。外骨格意識と内骨格意識は、意識の焦点の方向性が反転関係にあり、両者は世界を逆さま(裏返し)で受け止めます。

水平進化と垂直進化
アニマンダラでは、進化には二つの傾向があると考えています。それが『垂直進化』と『水平進化』です。これは進化における陰陽論とも言えるものです。これは、『ツインウロボロス』によって派生する進化の二つの流れで、交差、分岐することで、生命が多様化していくとAnimandalaでは考えます。同時に人の意識の進化の二つの方向性になります。『AnimandalaExplore』の人を生み出す左の道筋は、『垂直進化』を先手とした進化。右側は『水平進化』を先手とした進化になっています。

▶その他

環世界(かんせかい、Umwelt)
ドイツの生物学者、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱した生物学の概念。環境世界とも訳されます。人間も含めて、動物は種ごとに、異る知覚器官を持つため、それぞれ全く異なる知覚的現実世界に生きていているという考えかた。それによれば、人間も含めた生物には絶対的な客観世界というものは存在しないということになります。発表当初生物学においては全く評価されませんでしたが、一説では、同時代の哲学者ハイデガー、フッサールの現象学に大きな影響を及ぼしたと言われます。Animandalaでは、種我同型論を補完する概念として度々登場します。
【番外編 カンブリアンズD.N.A】
カバラ数秘術+Animandala
占術を、個人の自我パターンと、その成長プロセスを読み解くメソッドとして捉え、カバ数秘術にAnimandalaを応用しました。
カンブリア時代の動物は、私達の自我の最もプリミティブな反映、鋳型です。それに基づいて、数秘術の数の象意にカンブリア・アニマルを対応しています。カンブリアの動物のセレクトには、ネイティブアメリカンのパワーアニマル(トーテムアニマル)の視点も生かされています。