『人生と進化を同一視できる世界観』
フラクタルな生命進化
●IterativeEvolution-反復する進化-
生態系全体の進化が、文明の発展や個人の成長、精神構造として、フラクタルに様々なレベルで反復し、”現在”に畳み込まれている、それを伝えることがAnimandalaの主題です。
でも、そんなことはほんとうにありえるのでしょうか?
実はこのような発想は、必ずしもAnimandalaだけのものではありません。特定の神秘主義や神話、そして科学の中にも見ることが出来ます。ただし、科学と神秘主義・神話では、時間概念や文脈が異なるため、表面的にそれらを受け止めた場合、対立概念に見えるかもしれません。しかし、周期的なパターンや構造に焦点を当てたならば、両者に共通構造が浮かび上がります。Animandalaはそこに注目し探求していきます。両者の共通構造を紐解くことはアニマンダラのテーマの一つですが、ここでは導入として、理解の助けとなる、例をいくつかご紹介しておきます。
▶いろいろな進化の反復概念
▶多層的な反復進化 そして精神へ
アニマンダラの特徴は、進化の反復性が、身体の様々な発展段階から、精神の発達段階へと進んでいくと考えるところにあります。身体の変化は、世界の見え方=”認識”に影響を与えます。そして認識と自我形成は相互に深い関係性が在ることが『認知科学』で指摘されています。こうしたことを背景にすると、身体で進化のパターンが繰り返されるならば、それが自我形成の先行した”鋳型”として働くことも不思議ではないでしょう。アニマンダラは、こうした視点や『認知科学』に、『環世界』『現象学』などの哲学思想を重ね、種と自我は同型対応しているという『種我同型論』を展開していきます。
精神と進化の関係性ついては、科学でも、近年急速に発展している『認知科学』を拡張した『進化心理学』で活発に研究されています。
「ヒトの心理メカニズムの多くは進化生物学の意味で生物学的適応であると仮定しヒトの心理を研究するアプローチのこと。(中略)「社会学と生物学の視点から、現代的な進化理論を用いて、感情、認知、性的適応の進化などを含めた人間の本性を解明する学際的な学問」(中略)研究対象には感情、認知などの他、宗教、道徳、芸術、病理なども含まれる。進化心理学(wikipedia)
進化心理学の研究は非常に興味深いものがあります。しかし、思想的には機械論的合理主義の問題を強める方向にあります。Animandalaはその研究を率直に参考にしつつも、『構造は科学的に、解釈は神秘学的に』の文脈から意味解釈では異なる立場を取ります。
【胎児の成長CGアニメーション】
●アニマンダラに流れる二つの時間概念
種我同型論を掘り下げていくと、『進化は、人生の中で”自我形成”として反復し、今この瞬間も継続している』ということが感覚化されてきます。すると、逆説的ですが主観的な”認識”においては、古生物学が描き出す何億年もの時間にはあまり意味がなくなってきます。科学的時間周期は、フラクタルな周期構造のパターンの一つでしかなく、生物進化は、人生を通して体感される”今”の出来事としてタイムスケールが小さく変換されていきます。
日本の古神道には、”中今”という概念があります。
天地のはじめ、つまり古事記の創世物語は、古代の話のように語られていますが、それは過去であると同時に、今この瞬間に起き続けている出来事だという考えかたです。アニマンダラは、本来、中今と正反対な科学的リソースを利用して、生物進化と意識構造が構造的に重なることをみていきますが、生物進化と意識構造に一致を見た時、つまり意識の成長=個人の生き方と進化の重なりあいに気がついた時、主観的な体験として、神道の中今と同質の感覚に気がつくことになります。その意味で、アニマンダラは中今的な認識へ反転するための進化モデルと表現できるかもしれません。
ハワイやメソアメリカのシャーマニズムは、時間を二つのレベルで捉えています。一つは客観的で社会性とともに発達する、歴史的な時間概念、もう一つは中今と通じるもので、過去と未来が同時に重なり合う、今この瞬間が連続する純粋主観的な”生命時間”とよべる時間概念です。中今的な時間概念は、神道特有ではなく、シャーマニズムやアニミズムではオーソドックスな時間概念です。
Animandalaは科学的時間概念で構造を描写し、その構造を利用してシャーマニズムやアニミズム的時間概念を感覚化します。構造によって異る時間概念を統合していきます。ダーウィニズムなどの進化論には当然ながら科学的な時間概念しかありませんので、同じ進化を話題にしていてもここは大きく異る点になります。